予期せぬ妊娠をした女性の担当医師からのご相談

予期せぬ妊娠をした女性のお医者様から末尾のメールをいただきました。

「中絶するか、自分で産んで育てるか、の二者択一ではなく、里親に預ける、養子縁組を希望される方に子どもを育てて頂くといった選択肢があることをお伝えください。」ということを基本にお返事させていただいています。

 

どの選択をすべきかということに、単純な一般原則は立てられません。ご本人がその選択をどう考え、どう生きて行くかで、選択したことが正しかったかどうかが初めてわかるから。「中絶はしませんでした、子どもの命は救いました、はい、めでたし、めでたし」とも、「養子縁組をしました、温かい家庭で子どもが育つことになりました、よかった、よかった」とも終らない問題です。


大切な子ども達の問題だから、行政や、専門家まかせにするのはもうやめよう。行政も、専門家も、同じ人間。みんな迷いながら、悩みながら取り組んでいるのです。

私たち一人ひとりが考えて、行動して、声をあげていこう。そうしてやっとスタート地点です。

20歳代前半の女性で、元夫のDVのため、就学前の2人の子供と避難してきました。現在は母子寮を出て生活保護を受け3人暮らしです。私は医師として、精神的な病から薬を処方するなどし、週に1度外来でお会いしています。

カウンセリングを重ねているうちに、多少の安定が得られました。新しく彼氏ができ、先日、妊娠していることを報告されました。しかし、彼氏は妊娠がわかると携帯電話の番号を変え、連絡が取れないのだといいます。

私は、現在においても養育が破綻ぎみであること、経済的な問題は引き続きあることを伝えました。また、言うまでもありませんが、自分自身で避妊することの大切さも。

彼女は「ソーシャルワーカーと話して自分でこの子を守るって決めたのでうみます」と言います。

私は今、抱えきれない思いに悩んでいます。「自己決定」という名の下に、何かの責任を放棄したような気もしました。
生まれてくるべきじゃないこどもはいないと信じています。
しかし、生むべきではない状況というのはあるのかもしれません。

すでに周囲(行政、母子寮、保育所、病院)も可能な限り援助しています。一刻一刻と中絶のリミットが迫る中、本当にさらなる援助体制を整えられるのか、私自身が不安の中にいます。


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