白川美也子先生(Seeding Hope 代表 精神科医)

「ぐるーん with プロフェッショナル」


エピソード「子ども心と夏の空

プロフェッショナルコメント白川美也子先生(NPO法人Seeding Hope 代表 精神科医)


乳児院で子どもが懐いてくるとき、うれしくなりますか?当然うれしくなりますよね。では、せっかく行ったのに子どもが泣いてしまったとしたら

私はある乳児院に月に1回お仕事に行くのですが、_行ったときに、子どもが私に対して警戒心をもって遠巻きに眺めていたり、泣いてしまったりすると、実はちょっぴりうれしくなります。なぜならば、そういう子どもは、しっかりとしたアタッチメント関係を今の養育者さんに対して確立していることが多いんです。すなわち養育がうまくいっている証拠なのです。

そういうときには、「こんにちは、外から突然失礼いたします」と少し離れてそーっと座って、職員さんとお話しています。安心した子ども達から側に探索に来ることもあり、遊びたそうにしていたら遊びます。急に人のおうちに入り込まないのと似ていますよね。

むしろ逆に、誰にでもなついたり、却って知らない人に懐いてくる様子をみると、心配になってチェックしたりもします。そういう子どもは、「無差別愛着」といって、対人関係の基本になるアタッチメントのパターンに特徴をもっていることがあり、まず一人の職員さんとの関係が安定するように支援するほうがよいと思います。

子どもが人と遊べるのは、子どもが探索ができるくらい安心している状態のときです。子どもの心と身体の状態は、集団でも、個でも、くるくると切り替わるという特徴をもちます。「今泣いたカラスがもう笑ろた」。大切なのは、子どもが自分で自分の気持ちを上手に切り替える力をつけていくことを助けてあげることです。

そのためには、泣いている子どもにがっかりするのではなくて、「ごめんね、ちょっと張り切りすぎて、びっくりさせちゃったのかな?」と少しひいて、子どもの気持ちを考えてみることも大切かもしれません。

その次のときには、とっても楽しく遊べましたね。素晴らしい!楽しく遊べた楽しい気持ちは、子どもの心にしっかりと残りつづけるはずですよ。

 

 

 


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