父と母と私の大切なもの

そうだったんだ。

 

浩子は誰にともなくつぶやいた。

 

7歳でひきとられてから12年も生活を共にした養親のもとを離れて1年が経とうとしていた。

恥ずかしさもあった。一度だって「おとうさん、おかあさん」って呼んだことはない。思えば不思議な12年間だった。

 

父、母と私の関係ってなんだったんだろうって、ひとりになってずっと考えていた。私の気持ちなんてわかるものか、所詮血のつながりなんてないんだしって思ってた。だけど、ひとりになってみたら…すごく大切な何かが足りない気がした。

 

 

それが何かわからないまま何日も過ぎ、ひとりでぼんやりテレビを見ていてやっときついた。父と母と私。なんでもない会話の積み重ねがつくった関係なんだって。楽しい話や、悩みの相談なら父や母でなくてもいい、友達ともできる。でも、早く寝なさいとか、ご飯おいしい?とか、やっぱり味噌はこれに限るなあとか、リビングの電球なくなりそうだなとか、今年は庭のミカンの甘さがイマイチだとか、そんな話は家族としかしない。

 

そう気づいたら、なんだか無性にうれしくなった。

 

そうか、そうだったんだ。

今夜、久しぶりに電話してみよう。たわいない話をするために。

 

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